優秀な技術者になる・優秀な技術者を育てる その1 モチベーション

優秀な技術者になる・優秀な技術者を育てる 

   その1 モチベーション前編

 

2モチベーション

2.1 衝撃的ニュース:我が国の仕事への熱意

下は日本経済新聞2023年6月15日の記事です。仕事に熱意を持っている人の割合が5%で調査した145か国の中で最低とのことです。これでは、日本はどんどん衰退していきます。ただし、「不満をまき散らす全く無気力な社員の割合減少している。」とあります。 

 では日本のワーカー自身は他国のワーカーに比べて働く熱意が劣っていると感じているのでしょうか。もし感じていないとすると、失礼ながら「ゆでガエル」を思い浮かべます。(カエルを水に入れ少しずつ水温を上げていくと変化に気づかず、最後にカエルは死んでしまう。)   

            

      https://www.irasutoya.com/2019/10/blog-post_936.html  より

 ただし、ゆでガエルも、自分の置かれた状況を察すれば、直ちに鍋から飛び出すものと思います。国内のすべてのワーカーも人に負けない熱意をもって働きたいと思っています。

 これからは「熱意」に替えて私が使い慣れている「モチベーション」を使います。

 

2.2 モチベーション向上方法レビュー

 モチベーションに関する指南本をアマゾン経由で検索すると60冊以上の本がピックアップされました。如何に皆がモチベーションに関心が高いかを示しています。

参考までに、同様に「人材育成」で検索しますと同様に60冊以上の本が見つかりました。インターネットのブログ等にも数え切れないほどの記事が載っています。 

 また、モチベーションに関する格言も古今東西非常に多数、言われてきました。
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」上杉鷹山
「ハングリーであれ。愚か者であれ」スティーブ・ジョブズ(元アップル社のCEO)
また、育成側からは
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば人は動かじ」山本五十六(元海軍の元帥)
この3つの格言でどのように行動すべきか大体、言い尽くされるのではと思っております。

 このように、モチベーションの上げ方については、昔から正に「至れり尽くせり」で指南されています。ここで、今まで様々に書かれてきた内容をおさらいして、私なりにまとめてみました。 

モチベーション向上のために

1.目標の立て方

 明確な目標や目的を設定する

 目標を細かく設定し、小さな成功を何度も得る

 目標をスケジュールに全て落とし込んでしまう

 進捗状態を見える化する

 目標を人に伝える

2.仕事への興味を持つ

 自分の強み弱みを理解する。

 仕事が楽しくなるような環境に意識的に変える努力をする。仕事仲間とのサークル等

 成果を可視化し、やっている事の意味を理解する。

モチベーションが上がらないとき

 目標が不明確、頑張っても評価されない環境にいる。

 不満や不安に思っている事を言い出せない。

 興味がないことをやっている

 自分にご褒美を用意する、思い切って休む、適度にリフレッシュする。

モチベーションを上げるための方法は十分そろっているように感じます。上述の新聞記事と矛盾する気がします。どこかで歯車がかみ合っていません。

  次回の後編では、もう少し掘り下げて考察してみます。

 

一休み

 今回の野鳥は渡良瀬遊水地で撮影したコウノトリです。4月27日と6月7日に行きました。野生に戻されたコウノトリが人工巣塔で毎年営巣し雛が育っています。4月27日から6月7日の約40日でほぼ親鳥と同じ大きさまで育っていることが分かります。コウノトリの飛ぶ姿は優雅ですね。隣を飛んでいるカラスに比べてかなり大きいです。オシドリ夫婦と言いますがオシドリは不倫するそうです。コウノトリの方が夫婦の絆ははるかに強いとききます。

一般社団法人光融合技術協会の独自研究のご紹介

 私共が進めています一般社団法人光融合技術協会の活動の一端をご紹介します。以下は私共の鈴木理事からの記事です。

現在、フレキシブル太陽電池(現在はCIGS、将来的にはペロブスカイト)やフレキシブル表示・照明パネルの耐久性(寿命)が大きな課題となっています。そのためには、デバイス内への水分の侵入を防止するいわゆるガスバリア膜が必須です。このガスバリア膜には様々なタイプがあります。それらは、膜の構成や材料、成膜プロセスの違いによって分類されます。今、最も必要なことは、水分透過率が10-4g/m2d以下で、かつ、低コストで作成できることです。それを実現するには、できるだけ高速でち密な酸化膜や窒化膜を形成できるプロセスが必要です。

そこで、我々は宇都宮大学(依田准教授)と光融合技術協会(大谷)の共同研究として、“ホローカソードPE(プラズマ活性化)CVD(化学的気相蒸着法)によるハイバリア膜の高速成膜条件の検討”を進めています。

このプラズマ源を用いた方法は酸素100%の高密度プラズマを安定に供給できるので高速でち密で低応力の膜を長時間安定的に形成できます。かつ、電極表面が汚れにくいために、フレークの発生が少なく、膜の欠陥を極めて少ないレベルに抑えることが可能なので、バリア膜形成に有利と考えています。具体的には、典型的な成膜方法であるスパッタ法に比べて数倍の速度でかつC含有量の少ない低応力のち密なSiO2膜が形成できることは確認済みです。そこで、T社などがこのプロセスに興味を持ってます。

図1に示すような2本の空洞電極に放電ガス(例えば酸素)を導入しながら数10kHzの交流電圧を印加することで、高密度のプラズマが得られるホローカソードプラズマ源を用いたPECVD法です。プラズマは電極下部に設けられた小さな穴のから成膜チャンバー内に放出され、その直下に設けられた穴からプリカーサー(出発原料)が導入されます。このため、プリカーサーの分解による電極内面の汚染が避けられるために長期間の安定な成膜が可能なことが特徴の一つです。さらにホローカソード放電により高密度のプラズマが得られますので、スパッタの数倍の成膜速度が得られ、かつ、例えば、TMDSOなどからSiO2膜を得る場合には、残留カーボンが2%以下に抑えられ、かつち密で応力が小さい膜が得られることも特徴です。この技術はすでに大面積反射防止ガラス製造ラインに用いられており、図2に示されるような3.4幅のプラズマ源が開発され、使用されています。

当協会では、この技術はハイバリア膜の高速成膜にも有効なはずと考え、検討を開始したのですが、どういうわけか、バリア性が得られませんでした。そこで、現在、共同研究として、その理由を見出し、高速成膜を実現することを目指して、検討を進めているというわけです。用いている装置は当協会が管理運営している図3のインライン成膜装置であり、AGC-PTS社製のラボサイズのホロカソードプラズマ源(図4)を1台、フラウンホーファーFEPの丸形パルススパッタ源と前処理用RFプラズマを搭載しています。

この後、順次、検討結果を紹介していく予定です。

次回に続く