優秀な技術者になる・優秀な技術者を育てる  その5 全体最適意識 (チームワーク力を高める)

優秀な技術者になる・優秀な技術者を育てる 

その5 全体最適意識 (チームワーク力を高める)

 

シンギュラリティは2045年に起こる?

 シンギュラリティをご存じでしょうか。コンピュータが人間の知性を超えることです。それが2045年に起こるとアメリカのレイ・カーツワイルが提唱しました。2045年以降どのような世の中が来るのかは本題からはずれるのでここでは触れません。レイ・カーツワイルが提唱した大切なことは技術革新が相互に影響し合って、加速度的に進んでいくと説明したことです。(Wikipediahttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%8A%80%E8%A1%93%E7%9A%84%E7%89%B9%E7%95%B0%E7%82%B9

 技術革新が加速度的に進んでいますので、気を抜くと茹でカエル状態になります。技術が組み合わされて新しい技術が生まれていきますので、個人の技術だけに頼ることはできません。個人も会社も自前主義からの脱却が必要です。

 

ポケベルからスマホ、日本は取り残された。

 携帯電話を振り返って見ますと、ショルダーバックのような物を除外すると、一般人的感覚では最初はポケベルでした。若い人はもう知らないのではと思います。

「だれだれさんから電話がかかってきました」と「数字メッセージ」だけをポケベルの持ち主に伝えました。それから約40年、PHS、ガラ携、と移り、今はすべてスマホです。下図のように様々な機能を持ち、スマフォなしの生活が考えられなくなってきました。

 スマホへの進化は半導体、ソフト、通信、カメラ、モニター、画像処理、電池等の技術の組み合わせです。日本はガラ携にこだわり、取り残され、スマホには入り込めませんでした。

 これから、別の分野でも十分起こる可能性があります。

製品開発は帆船時代の航海に例えられる

 新しい技術の組み合わせで新製品を開発することは大航海時代の新天地を目指した航海に似ています。航海の計画を立てて、多額の資金を国王や富豪からの投資で未知の海に乗り出します。計画通り航海できることは皆無です。早くたどり着かねば、他の国に先を越されます。ただし、様々な未知の困難に遭遇し、それを乗り越えていかねばなりません。嵐、座礁、海賊、食糧難、反乱様々です。乗り越えるためには様々な専門を持った屈強な船乗りと、それらを束ねる強いリーダーシップを持つ船長が必要でした。

 現在の不確実性の時代の中で、複雑な技術を組み合わせて、新たな価値を生む新製品開発を計画に沿って優秀な指導者のリーダーシップの下に、優秀なメンバーが一丸となって開発を進めることができれば理想的です。

 しかし、現実には指導者も技術者も並みの能力を前提とした方が良いです。その中でどのように乗り切るかを考えることになります。チーム力がカギとなります。「優秀な技術者になる、育てる」は本稿の主題でありますが、ここでは「全体最適を目指したチーム力」について考えてみます。「一頭の羊に率いられた羊の群れは、どうすべきか。」です。

 

ネアンデルタール人は滅び、ホモサピエンスはなぜ繁栄したか

 数万年前、ヨーロッパではネアンデルタール人ホモサピエンスは同時に生存していました。ネアンデルタール人ホモサピエンスより体格も良く、頭も大きかったと言われています。しかし、現代はモサピエンスのみ生き残って繁栄しています。

なぜでしょう。ネアンデルタール人の石器等の道具の進化スピードはお遅く、ホモサピエンスの道具の進化は早かったようです。ホモサピエンス全体最適の下に協力し、知恵を出し合って、生活を改善していきました。ネアンデルタール人は高々数名の家族単位で生活していましたが、ホモサピエンス100人規模の集団行動を全体最適のために行動できました。ホモサピエンスは本能として全体最適の下に、共通価値を認識し絆を深める能力を持っていたようです。これにより気候変動等の苦難を乗り越えられたようです。まだ、仮説のようですがかなり確かな説と思います。

我々の祖先は価値を共有し「3人寄れば文殊の知恵」で生き延びてきました。

 複雑化し、変化のスピードが加速度的になっている現在、我々ホモサピエンスこの遺伝子を生かさなければならないと思います。

 

チーム力 全体最適

 複雑な技術開発を進めるには、優秀な指導者の下に、優秀な技術者が集まり、全体最適を意識して強固なチーム力を発するしくみを作り上げることである、と昔から言われてきました。現実は優秀な方は稀ですが、全体最適を意識して強固なチーム力を発するしくみは作らなければなりません。目標と開発仕様の明確化、頻繁な打ち合わせ等、基本的なことは教科書に載っています。ただ、教科書に載っているチーム力強化策は、何か「」が欠けているようにも感じます。

 このシリーズの冒頭でお話しました「技術者の目指す4つの満足」との整合が一つの課題となります。

  1).お客様の満足    (私、これがほしかったのよ。) 

  2).自分の満足       (技術者になって良かった。)

  3).家族の満足       (お父さん頑張っているね。)

  4).会社の満足       (あいつは良くやった。)

 特に最初の3つの満足です。全体と個々の整合です。仏教では、「自利利他」との言葉もありますが凡人ではなかなかその境地になれません。ヒントは「愛情」だと思っています。親が子供に抱く愛情、恋人に抱く愛情、これらはスキンシップ、アイコンタクトでオキシトシンホルモンの分泌で強くなると聞いています。

 

チームや、そのメンバーに同様な愛情を持っていれば、チームの成功の喜びをチーム全体で分かち合え個々の満足との整合が取れるのではとお思います。

ホモサピエンスの本能の「仲間意識、絆、連携、共感」を強められると思います。

 

何をしたら良いか どうするか

 今まで、思い付きを寄り道をしながら述べてきましたが、結局、古くから言われてきたことを、下記のことをもう一度振り返り実行することと思います。

アイコンタクト → face to faceの会議、懇親会、パーティ、家族ぐるみのレジャー

スキンシップ  → 握手、腕組等、ハグ ! 、ハイタッチ !

 私の時代は、会社の飲み会、運動会開催、レジャー等、社内で盛んにおこなわれてきました。今はコロナ禍もあって、社内の飲み会も激減しました。若い方々は上司と飲むのは「ウザイ」と言って避けます。

2次会費用を数万円を懐からポンと幹事に渡し、後は皆で楽しめよと言える上司を持ちたいですね。

 欧米では、初対面でもバグや握手をします。また、職場ではピクニックと簡単な野外パーティを頻繁に開きます。それで、仲間意識も強くなります。

 日本の停滞は「自前主義」がもたらしたと思っています。欧米は「オープンイノベーション」推し進めています。異文化との合流です。外の知恵も借りて三人寄れば文殊の知恵で難局の連続を乗り越えていかなければなりません。

 

 もう一度、昔に帰って、face to face、スキンシップの機会を増やすのが、これからの加速度的に複雑になる社会に非常に重要と思います。ただし、これからは、異文化の方々との絆も重要です。

 

つづく

 

一休み カッコウホトトギス

東京葛飾区にある水元公園で10月に撮りましたカッコウホトトギスです。

歌等で名前を聞くポピュラーな鳥ですね。しかし、都会で見たことはありますか。

もっと、面白いことは、カッコウホトトギスの外見の区別がつきますか。実はわたくしにも無理です。

写真に名前をつけましたが、実は?です。もう一つ、全く似た鳥にツツドリがあります。

3つまとめて「トケン類」といいます。鳴き声は全く異なります。

 

一般社団法人光融合技術協会の技術紹介 その5  

 光学薄膜成膜法の基礎 その1

                 一般社団法人光融合技術協会は https://www.i-opt.org/

 

 下記資料は、一般社団法人光融合技術協会の生水理事の講演スライドです。もし、質問等ありましたら上記URLを開いていただいて、ホームページの中の問い合わせにご連絡いただけないでしょうか。

次回につづく